オステルリー・スズキ
赤坂通り沿いにある、探偵事務所が入っていそうなビルのB1にあるフレンチのお店。入口の目印はフランス国旗。
 これは「お好きな物をチョイス!夜のプリフィックスメニュー」という4,500円のディナーコース。このコースは魚料理は固定で、オードブルと肉料理とデザートがそれぞれ7種類の中から選べるもの。

 左上から、「ヴィネーグルフランボワーズ」という、ラズベリービネガーがベースの、酸味の効いたノンアルコールドリンク、中にエスカルゴ等のペーストが入ったシュー皮のアミューズ、自家製のパンとジャガイモとタマネギを使ったペースト、オードブルの「ガスパチョスープ」、スズキのカマを揚げたもの、魚料理「スズキのポワレ・ムール貝のソース」、肉料理「仔羊モモ肉のロースト・塩殻包み ロマランの香り」、デザート「ベリー類の温かいスープ」。

 正直、フレンチについては経験値が限りなくゼロに近いのだが、ありがちなイメージであった「フレンチはお腹一杯にならない」というのは皆無。

 アミューズに使われているペーストは味が凝縮されており、自家製のパンとペーストの相性は、じゃがいもがやや荒く残っているのが素朴で効果的。ガスパチョスープはトマトとセロリのさっぱりとした味を中心に、胡瓜とタマネギによるものと思われる食感が心地いい。

 スズキのカマは、ちゃんとフィンガーボールも出てきたので安心してかぶりつくことができ、その後スズキ本体に流れるという展開。本体もふっくらしており、ムール貝の濃厚なソースとの相性がいい(このソースは本当に美味しくて、どうしてパンにつけて食べなかったのかと後悔)。

 メインの仔羊モモ肉は、まずそのボリュームがすごい。かみ締めるとその食感と肉汁がしっとりと広がってきて、塩釜の塩味がお肉の旨みを引き出している。この塩味のバランスが絶妙。ソースに入っているロマランという香草の香りも、羊肉ということもあってか少し強めのものなのだが、そもそもの肉にまったくクセがないので、香草の香りがダイレクトに伝わってくる。当然、デミ系のソースと絡めて食べると理想的な味の足し算になる。付け合せのホワイトビーンズも皮が残ったその食感が効果的。

 デザートのスープの真ん中には、ヨーグルトのアイスが乗っている。このスープがものすごく濃厚な甘み。こんなに甘いベリー系のものを食べたのは初めて。それにヨーグルトアイスの酸味が旨く組み合わさっている。イチゴも密度の高い味。

 写真にはないが、デザートにはコーヒーが付き、更にマカロンとハーブティーがついてくる。3,500円の「気軽にフレンチコース」というのもあるが、この1,000円の差は非常に大きいと思った。シェフがホールに出てきて分からないことを教えてくれたのも好感。