うまいもん屋
 日比谷線築地駅からすぐにある実力派のお店。この界隈では珍しく、夜に美味しいものが食べられる。
 左上から、肉じゃが、かぼちゃのそうめん、あまりにも意表をつかれたので名前を忘れてしまった貝、お刺身(伊勢海老、マグロ、イカ、タコ、ウニ、甘エビ)、塩釜とその中身の鮎、七輪焼きの具材(車えび、ホタテの貝柱、早松茸、さつまいも)とホタテを焼いているところ、七輪で焼くゴロイカ、かすべ(エイのこと)、米茄子の田楽、ゴーヤチャンプル、稲庭うどんとそのおつゆ、茨城産のスイカ。

 お店に行ったら、後ろのテーブルではこの店のことを掲載した「やまけんブログ」うんぬんという会話。正直、ご一緒いただいた方も自分も同じ系統なので、笑ってしまった。

 さて、この写真で2人前のおまかせコースなのだが、とにかくボリューム満点。肉じゃがは飾らない家庭の味付け、かぼちゃそうめんのシャキシャキした歯ごたえ、謎の貝から出てくる大量の水という序盤の時点でものすごい奇才的な献立の構成。そして、正統派のお刺身が来たと思ったら、生涯初の塩釜の鮎になだれ込んで、さらにこれも生涯初の7月の松茸(自分としては、グラマラスなホタテとものすごく甘いさつまいもが印象的)、飲んべいにはうれしい(自分はお酒が苦手なので、ごはんが欲しくなった)ゴロイカまで出てくるという展開。

 さらに、この日一番の衝撃だったかすべの煮付け。最初はかすべの正体が分からなかったので、骨は食べられないと思っていたのだが、偶然口にしたらそれが軟骨ということが判り骨を気にしないモードで食べると、コリコリした食感がものすごくたまらない。そして、中華風の味付けながら、ネギによってあっさりしたあんを載せたグラマラスな茄子は、噛み締めるとジュワっと味が口に広がる(女性客にはトマトをアレンジしたメニューが出ていた)。そして、ゴーヤチャンプルで口をあっさりさせて、締めの稲庭うどんを生姜が利いたつゆで食べる。

 しかし、デザートに出てきた茨城産のすいかがすごい。店主の友人が送ってきたものということで、この日特別に出てきたものなのだが、白い皮の付近でも真ん中と同じぐらいの甘さを感じる。このスイカは本当にすごかった。

 気さくな店主に色々とお話を伺うと、非常にテーマをもってこのメニューにしていることを実感。思うに、料亭の会席料理をものすごくわかりやすくして、同じぐらいの手間をかけたものはこういうものなのかもしれない。店の外観や盛り付けだけにしかこだわってないお店がある中で、こういうお店こそが貴重であり、大事な人を連れて行くべきお店なのだと思った。