うまいもん屋(その2)
 最近、各種媒体にも登場しだして予約がとりづらい店になっている…
 左上から、れんこんとこんにゃくのきんぴら、野菜の煮付け、むかご、ワカサギの天麩羅、ナスの洋風炒め和え、お刺身(伊勢海老、マグロ、イカ、タコ、ウニ、甘エビ)、にしん、フカヒレを乗せた茶碗蒸し仕立て、かぼちゃと生クリーム、鍋用のマグロのアラ、とそれを煮込んでお皿に取り分けたもの、その後に入れた野菜とその鍋と、そのスープで煮込んだラーメン、生牡蠣、ラ・フランス。

 お昼ごはんを入れると3回目の訪問。前回、ビールを飲みながらの食事であまりにも満腹になってしまったので、今回は麦茶を飲みながらの食事。

 さて、今回は3,500円おまかせコースを3人前、相変わらずボリューム満点。れんこんのきんぴらは、しゃきしゃきしたれんこんともっちりしたこんにゃくに唐辛子がピリっと効いたもの。それと対照的に、野菜の煮付けはあっさりと仕立てられている。さといももニンジンも甘みたっぷりで、つゆも旨い。

 むかごは、山芋の葉の付け根にできるもので、これを茹でたものに塩がふられている。食感や皮を剥いたものはさといもに似ているが、味は別物。ほんのりした甘さと皮のちょっとした苦味がたまらない。こういうあまり食べる機会のないメニューを出してくるのがこのお店のうれしいところ

 ワカサギの天麩羅は、ワタの苦味を含めて濃厚な味。塩がかかってなくてもそれだけで旨い。ナスの洋風炒め和えはケチャップベースのソースにこれも赤唐辛子が効果的。ナスの甘みとコクを更に広げている。そして、お刺身も相変わらずのボリューム。しかも、伊勢海老のヒゲがお皿にかかったのをどかしたら、まだ生きていたことが判明。

 ニシンはなんと30センチ近くの大きさ。これがなんとフワフワの食感。しかも、本当に新鮮なものだったのでワタや卵も濃厚な旨さ。骨の量うんぬんなんて関係なしという感じになる。さらに、追い討ちをかけるようにフカヒレ。甘めのソースがかかった茶碗蒸し仕立ての料理は贅沢な気分にさせてくれる。

 この日、個人的に一番の衝撃だったが、このかぼちゃと生クリーム。口に入れてカボチャの甘みと生クリーム(砂糖は入ってない)が一体になると、信じられないぐらいのまろやかな味、デザートと言ってもいいぐらいのもの。単純に2つの素材を組み合わせただけなのにこれほどの味になるのが驚き。かぼちゃの甘みが鮮烈だからこその味。

 そして鍋となる。まずにんにく一片と水が入った容器が運ばれてきて、それを沸かす間にしょうゆ仕立てのタレと生姜で和えられたマグロのアラが運ばれてきた「まずは、これを4回ぐらいに分けて煮て食べてね」とのこと。食べるとアラ特有の力強いコクと旨みが噛めば噛むほどにじんわりと広がる。そして、野菜を入れて食べると、マグロのアラの旨みと生姜が効いたタレの旨みを野菜が吸い込んで水菜や白菜が力強い味に。これを生姜醤油で食べるのだが、生姜に生姜が重なってもまったく問題なし。むしろさっぱり感を増幅させてくれる。その後、「この後、鍋にごはんを入れる?ラーメンを入れる?」と聞かれたので、すぐさまラーメンを指名。

 ラーメンをぐつぐつと煮込んでいる間に、なんと生牡蠣が登場。酢等の調味料でほんの少しだけ味付けがしてあり、これに酸味を抑えて甘みが効いているレモンを絞って食べると、ものすごく旨みが広がる。そして、ラーメンがほどよく茹ったのですぐさますすると、濃厚なマグロのダシと野菜のエキスを全部吸い取った麺が旨すぎる。このスープなら確実にラーメンがオススメ。

 デザートはりんごのように切られたラ・フランス。運ばれてきた瞬間に甘い香りが広がり、食べるとその香り以上の甘みがじんわりと広がる。

 やはり、気取らずこんなに旨いものを食べることができるお店は貴重であり、5,000円コースだと何がどうなるんだろうかという想像をかきたててくれる。