"The Warwick New York Hotel"に到着してチェックインを済ませ、カードキーを手にして部屋に向かう。3機のエレベーターの一つで23階まで上がり、自分のフロアに到着。エレベーターホールというものはなく、ドアが開くと鏡があり、右を向いてちょっと奥に進むと自分の部屋に到着。一応、予約の時に"Deluxe Room"で予約したので(他のホテルは予約でふさがっており、空いていたホテルを予約したという話であるが)期待してドアを開ける。
 中にはベッド2つ、テレビが収納された棚、鏡台を兼ねた棚、小さなテーブルとデスクと照明。クローゼット。バスルームにはアメニティグッズが一通り揃っており、特に2種類の石鹸が置いてあったのがうれしい話。ただ、この部屋には重要なアイテムが二つ欠けていた。
 一つはそれを承知で予約したのだが「冷蔵庫」。テレビが収納された棚の下段には有料のドリンクが備え付けてあるのだが、実際、外で大振りペットボトルを購入して飲むことが多いので、実際に冷蔵庫がない状況に置かれると偉大さを知る(製氷機は同じフロアにあるのだが)。
 そして、もう一つはケーブルチャンネル"NY1"。このホテルでは契約してないらしい。天気予報やらは3大ネットワークでまかなえるものの、旅行中に地元ネタを追加で仕入れることができないのは痛い。そんなホテルでスーツケースから荷物を出して部屋をベースキャンプ化した後、母親が航空機で窮屈な姿勢で眠っていたこともあり少し休憩。そして、体力を回復した後で夕食に出かける。

 少し歩いて地下鉄の入口にたどり着き、メトロカード7日間乗り放題@24ドルを購入して地下鉄に乗り込む。初めてNYに来た母親にとっては、メトロカードを上手く読み取らせることとバーを押すことは、難しいものだったとのこと。そして、一番最寄の駅を降りて徒歩数分。たどり着いた先は"Saigon grill"。
 そのサイゴングリルは外観からは感じられないのだが、店内に入ると相当な奥行きを持つベトナム料理のお店。もうすぐ行列が始まるという具合に混雑した店内になんとか入ることができ、メニューとにらめっこして注文したのは、"Goi Cuon Tom"なる生春巻き、"Goi Du Du"なる牛肉と青パパイヤのサラダ、そして"La Sa Tom"なるエビとココナッツミルクのスープに、米でできたバーミチェリ(細いパスタ)が入ったもの。

 生春巻きは、日本の生春巻きと比べると皮が厚めで、エビ、レタス、バーミチェリ(La Sa Tomと同じもの)、そしてハーブが入っている。一口食べるととにかくハーブの味がかなり強めに感じた。また、エビの食感については、茹でたものとしてはプリプリしており、皮の食感に負けていない。ソースは甘酢とピーナツが入った甘めの味噌があり、前者ではハーブの味を受け止めるには多少薄め、後者ではかなり濃厚という具合。どちらかといえば、ほとんど味がない生春巻きだけに、後者のほうがつけて食べるにはオススメだし、旨さを感じた。

 エビとココナッツのスープは、具は先に書いたものとパクチーだけというもの。あまりにシンプルな具の構成なのだが、味はココナッツミルクの甘さとちょっとした辛さのバランスが絶妙。エビの食感は茹りすぎることなく、バーミチェリのすこし緩めの食感といい対比を作っている。スープとして飲んでも主食として食べても満足のいく一品。唯一は、冷めやすいことに注意か。ちなみに、隣のテーブルにいた仕事帰りと思しき女性客も、これを食べながら単行本を読んでいた。以上3品で17.93ドル+チップという価格は本当に良心的。

 お腹を満たした後は、食後のデザート。ということで、去年に続いてタイムズスクエアの"Cold Stone Creamery"へ地下鉄で向かう。夜9時近かったのだが、場所柄もあり店内の混雑は相変わらずで、2レーンとも行列ができていた。10分ぐらい並んで、ようやく試食もできるアイスのショーケースにたどり着く。今回のオーダーは、チーズケーキアイスのベースに、グラハムクラッカーパイ、ブルーベリーとストロベリーを加えた"Cheesecake Fantasy"。いつものごとく、大理石の上でアイスとフルーツをミキシングし、茶碗ぐらいの大きさのアイスが出された。これで6.25ドル。

 食後、タイムズスクエアで騎馬警官や定番のカップヌードルを眺めて地下鉄でホテルに向かう。ホテルに一番近い駅で地上に上がると、スーパーがあったのでミネラルウォーターを買ったのだが、冷蔵庫がないことを思うとなんだか…

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 牛肉と生パパイヤのサラダは、味付きのグリルドビーフの下に青パパイヤの千切りとニンジン、バジル(とメニューに書いてあるものの、パクチーか)、そして砕いたピーナツが周りを彩る。運ばれてきてすぐに食べた味は、牛肉は牛肉の、パパイヤはパパイヤの味がそれぞれ別物として感じられたのだが、混ぜてお互いの具材がなじむと、青パパイヤの食感が少ししんなりとしてきたことで、食べやすさが生まれてビーフのしっかりした濃厚な味と、さわやかなパパイヤの水分が一体となった旨さに変わる。また、ピーナツの食感が効果的。そして、ここでもバジルの強さは変わらず。

 味は濃厚なアイスに対して、半冷凍状態のフルーツが適度な酸味を与えてくれる。また、クラッカーパイの食感と素材が舌に休みの部分を加えている。正直、いくらこの店の濃厚なアイスが好きであっても、アイスだけというものなら飽きてしまうぐらいの濃さなのだが、このフルーツやパイといったアクセントがあることで、最後まで食べることができる。

 11月3日に六本木に開店した日本1号店にはまだ行ってないのだが、方々で見る写真の限りではレーンが1本しかないようで、作り方やら試食やらを考えると、店員の熟練度以上に判り易く単純な混雑の原因としては、これが一番大きいのではないかと思う。また、日本版のホームページにはグランドメニューが提示されていないので、事前に予習をしてから来ることができない。
 外食系ブログには詳細なデータを掲載しているものもあるのだが、やはりお店自体が色々な意味でのインフラを整備しないと、しばらくは混雑が続くか、プレミアムの位置づけとして意外に中途半端なものになってしまった、ドーナツプラントになってしまうかという感がある(まぁ、コールドストーンはプレミアム路線とは少し異なって、多店舗展開をしたがっているようだが)。
 …と書いた1ヶ月半後に、久しぶりに日本語版のホームページを見たところ、グランドメニューのPDFファイルによる掲載が始まっていた。どこまで書いてあるのかと見たところ、全てのメニューとそれを構成する中身が掲載された詳細なものであった。