休憩後、地下鉄で125Stに向かう。ハーレムに着くと母親はさっきまで見ていた風景との違いに、驚いている様子。実は、母親はハーレムに来ることを楽しみにしていた。その理由は人種の違いや建築様式の違いもさることながら、体型の違いに興味がある模様。確かに、黒人のお尻の位置というのは筋肉のつき方が白人のそれと異なり、やや上のほうについているという感がある。そして、一つ一つの普通の動きにさえバネを感じる。

 単純に寄り道せずに歩くと、125stの駅から徒歩15分ぐらいにあるのが、このソウルフードのお店。店内は黒人の方がほとんどであった。実は前回のNY旅行の際に別のお店で食べたミートローフが非常に旨かったので、今回の旅行目的の一つに「ソウルフードのお店のミートローフ」とうのがあった。
 ところが、このお店ではミートローフは日替わりメニュー。しかも、それは鳥を使ったミートローフというもの。この日は金曜日だったのでミートローフは断念し、ワッフルの上にフライドチキンを乗せた"1/4Chicken Waffle"と、"Pork Chops"というメニュー、そしてLemonadeを注文。フライドチキンを注文する際に、店員さんから「腿?胸?」と聞かれたので、腿を注文。

 まず、レモネードとコーンブレッドが運ばれてきた。やはり、レモネードの量は多い。推定600ml級の濃厚なレモネードを一口一口飲んでいくうちに、お腹の中の水分度合いも高くなる。ただ、多少薬っぽさを感じたのは気のせいだろうか。
 一方のコーンブレッドはほのかな甘みと、ふかふかな食感の中に少し荒々しさを感じるのが、むしろソウルフードらしさか。パンケーキの場合は、やや繊細で決め細やかな生地であって欲しいというのがあるのだが、こちらの場合は生地が繊細になってしまうと、味の濃さを受け止められないのではと思う。

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 そして、"1/4Chicken Waffle"と"Pork Chops"が運ばれてきた。前者は母親が頼んだものなのだが、実はこの時点でかなり満腹状態。なので、ワッフルはテイクアウトとなってしまった。しかし、チキンは皮パリ・身しっとりというバランスがすばらしく、スパイスも余計な味というものを感じさせないぐらいの適度な味付けとなっており、力強い鶏肉そのものの味を感じさせてくれる。
 そんなことを思いつつ、なぜかH&Mに立ち寄りつつ町を歩く。ただ、予想以上の距離を歩くことが母親の足の負担にもつながり、疲れた表情をさせてしまった。「(次の店に)地下鉄で行く?」「いや、外を見ながらのほうがいい」ということで、なんとか歩き続けてようやく到着したのが"Amy Ruth's"である。
 一方、Pork Chopsは骨付きの豚肉を焼いたものではなく、衣をつけて揚げたもの。非常に高温で長時間揚げてあるのか、中の肉の色は焦げ褐色という具合。身の部分を食べると、最初に口に広がるのは油分と固めの肉の食感。しかし、噛んでいるうちに豚肉の濃厚な味が前へ前へと出てくる。歯に肉の筋がひっかかかったりもするのだが、ある程度の大きさに分かれた一塊を食べ終わるまで、手を離すことができない。このあたりが現地ならではの感覚か。
 また、付け合せのライスサラダが、タイ米によるものなので、水分が変に加わらずにこの油分を上手く吸収してくれる。ただ、カラードグリーン(高菜みたいな野菜を炒めて煮た物)は、味付けが辛くて豚肉の唐揚げの味に対するアクセントにはなるものの、量が大量であったことを含めて全部食べるのが難しかった。という以上の3種類で25.42ドル+チップ。
 食後に思ったのが、この店はこの店で旨いが、やはりミートローフが食べたかったということ。実は、ミートローフがないことが判った時点で、店を出て去年行った店に行こうとも考えたのだが、北に20ブロック近く歩かなければならず、これ以上歩かせるのも…というのがあった。母親に旨いミートローフを食べさせると話していただけに、申し訳なさが残った。