さて、お昼に入った"gobo"は、ニューヨークのウエストヴィレッジとグリニッジヴィレッジの間ぐらいにある、ベジタリアンフードのお店。場所は6番街沿いにあり、最寄り駅はW4STREET-WASHINGTON SQUARE。店内に入ると左には落ち着いた雰囲気の客席が、右側にはジューサーでこの店の名物であるオーガニックスムージーを、豪快に作っている姿が見える。

 さて、そのプレート。メインの具材としては厚揚げのようなもの(ベジタリアンフードなのでこれが肉代わり)、トマト、ズッキーニが使われており、海苔がまぶしてある。味はササゲと和訳しつつも焦がし醤油のような香りと味。厚揚げもそうなのだが、炒めたズッキーニが特にこのソースとマッチする。また、トマトの酸味がいいアクセントになり、海苔のコクがこれに重なるという極めて重厚な味。そして、玄米をこのソースと絡めると玄米が上手く吸収してくれる。これが白米になると白米の甘みとやわらかさが強すぎてしまい、相反するのではと思う。さつまいものマッシュポテトは、やはり日本のさつまいもとは違いやや特殊な味。どことなくシナモンを使っているような感がある。そして出てきたスムージー。

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 さて、食後に向かったのが毎度おなじみの"URBAN OUTFITTERS"。毎回、旅行中はこのチェーンで1枚はTシャツを買ったり、トラックジャケットを買ったりという流れになるのだが、今回はトラックジャケットが不発。1種類だけ着物地を使ったものがあり迷ったのだが、試着しようとしたところあまりにもファスナーの開き具合が悪かったので断念。結局、アメコミもののTシャツを1枚購入。本当は写真のTシャツが欲しかったのだが、色が似合わずにこれも断念。いいセンスのデザインなのだが…
 その後、ホテルに戻り休憩。今回の旅行、ニューヨークが初めての母親に対して、色々な面を知ってもらおうと町歩きをしてきたのだが、実際問題としてチャイナタウンからウェストヴィレッジ界隈まで歩くのは、非常にタフなことであり、それが心理的にマイナスに働きつつあった。やはり、これだけ広大なエリアを動き回るということについて、「まぁ、大丈夫だろう」という考え方が、自分の独りよがりだということを痛感。やはり、プランニングの時点で詰め込み型の町歩きではなく、お互いのペースを守りつつ楽しめるルートというものをもっと考えるべきだったと思う。

 Very berry blastは、細かく砕かれた種の食感も含めてまさに作りたての味。濃厚で甘さよりも酸味が優先されている。一方、Sweet redは使用している果実の性格も含めて、それと比べるとかなり甘めの設定。バナナの濃厚さとイチゴの酸味が、リンゴジュースに乗って直接伝わってくる。飲みやすい味としてはこちらのほうが上だが、本来これを飲む意味を考えると、very berry blastのほうがそれに近いのかもしれない。
 去年も"Zen palate"でベジタリアンフードを食べたのだが、明らかに味はこちらのほうが上。また、日本でここまでしっかり味付けけがされている、ベジタリアンフードの店に巡り合ったことがないので、旅行中にはぜひという感じである。

 
 さて、ホテルで一眠りしたことで母親の体力も回復したので外出。実は、ホテルの斜め前はMOMAなのだが、改装後のMOMAと隣の建物とのコントラストがあまりにも印象的。ただ、赤いシートで覆われているエリアは、おそらくMOMAが購入したと思われる土地。こうなると、この建物もいずれは…と思ってしまう。




 買い物モードだったので、昨日に引き続いて5番街へ向かうと、"St.patrick's Cathedral"の扉が
開いていた。実は入ったことがなかったので教会の中に入る。自分には建築の知識は全くない
ので、感じたままの話になってしまうのだが、厳かな空間の中に広がる青みが印象的なステンド
グラスや、祭壇を初めてとした全ての構築物が、一つの方向に向いたエネルギーを持っているよ
うに思えた。
 
 想像以上に美しいものだったことに対する喜びと、それを見ることにで生じた一種の緊張感を
感じて、夕食へ向かう。
 ここのお昼はワンプレートランチが主流で、メニューを解読しつつ注文したのが、"braised tofu in black bean sauce, mashed sweet potato, brown rice"(7.00ドル)というもの。和訳すると、「油で炒めて煮込まれた豆腐のササゲソース和え、さつまいものマッシュポテトと玄米添え」という具合か。そして、この店の名物であるスムージーの中から、"very berry blast"(ブルーベリー、ブラックベリー、りんごのスムージー、8.00ドル)と"sweet red"(ビート、バナナ、イチゴ、リンゴジュースのスムージー、6.00ドル)を注文。物が物だけに最初にスムージーが出てくると思いきや、出てきたのはプレートのほうだった。
 エンパイヤステートビルから徒歩7分ぐらいの、人通りがやや少ないところにある日本食レストランバーCOCO。店内に入ると左手にはバーカウンターがあり、右手にはテーブルのスペース。そして奥には寿司カウンターがある。
 我々が注文したのは「寿司の食べ放題」。一人19.75ドルを払えば、メニューに書かれた寿司が食べ放題となるものである(一部のネタについては追加料金を要する)。ただし、ルールとして「一回の注文につき、にぎりは一人10カン、巻物は一人2本までとする」、「注文したものを食べきるまで、次の注文をしてはならない」、「残したら罰金」というものがある。また、シャリは「通常のものよりやや大きめとなっています」というもの。
 どうやら、大半のテーブルがこれを注文していたようで、出てくるまでには結構時間がかかった。とはいえ、出てきたものを見ると食べ放題用のネタと通常用のネタという区別はしてない模様。白マグロといったものもあったが、特に旨かったのはサバ、ウナギ、白マグロ、サーモンであった。基本的にネタはやわらかく力強い弾力には多少欠けるのだが、ご飯はカリフォルニア米を使っており、ちゃんとした寿司になっている。また、シャリについてはそれほど苦になるような大きさのものではなかった。
 で、半ば黙々と食べているうちに満腹となりお会計。ダブルタックスのチップも一緒に払い、お店を出たときに偶然この店のオーナーの方がいて話を聞いたところ、やはり、店員を全員日本人としているので、チップはこの水準になるとのこと。ちなみに、ひそかに楽しみにしていたボストンのマグロは、残念ながら「7〜8月のもの」とのことだった。