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2007年03月02日

カキの養殖現場を見たことがありますか?〜兵庫県・赤穂市坂越 鎌倉水産にて その2〜

 オイスターフリークの皆様、お待たせしました。カキタベ!でございます!

さて、現在のカキタベ!は何位になっているでしょう?


 ※その1はこちらです。

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 陸地からカキ船に乗る際、船と陸地の間に細い木を架けて渡ることになる。

 鎌倉水産のご主人はもちろんのこと、高校生の息子さんも、まるで木の間を飛び移る動物のように、慣れたものだという感じに何事もなく器用に渡っていく。それを追うべく、どことなく足の動きがおぼつかないこの方意外に器用にひょいっと渡るこの方、そして一番おっかなびっくりに渡る自分。大量のカキを乗せて帰ってくるため、5人が限度といった具合なので、今回ご案内いただいた神戸っ子ゴハンの早坂夫妻には、申し訳ないと思いつつ、陸地でお待ちいただくこととなった。

 そして、港を離れてカキ船は瀬戸内海に向かう。港の一番端から早坂夫妻の見送りを受けると、まるで親の引越しで東京の学校に転校してしまう側と、それを見送る側の空気のようなものが流れた。

 瀬戸内海はその名のとおり内海なので、波が少なく小さな船も比較的穏やかにゆらいでいる。ただ、あくまでも予想したよりはというもので、実際には最後尾でカメラを構えていると、足元がおぼつかなかったり、少しでも波が船に入ってくると、おっかなびっくりな状態になってしまった。

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 この鎌倉水産もある坂越湾には、中国山地を源流とする千種川から、植物プランクトンが豊富に流れ込んでいる。なので、一般的には1〜2.5年程度とされている養殖期間(目的によっても養殖期間は変わる)が1〜1.5年と早く、それでいて味も濃厚ということで、養殖には好条件の産地となっている。

 そして約10分程度、揺れに慣れた身体で心地よい風を受けつつ、それでもどこか落ち着かない状態で船に揺られ続けると、目の前に数多くの筏が見えてきた。

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 少し遠目で見ると、それほどの大きさを感じないのだが、竹で組まれたこの筏は結構な大きさである。

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 筏の横に船をつけて、浮き袋にロープで固定したら、鎌倉水産のオヤジさんと息子さんは、ひょいっと筏に渡る。この筏、海面にプカプカと浮いているものの、見る限りは横には揺らいでない。

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 内海なので、波が比較的穏やかなのもあるのだろうが、これは牡蠣が海底方向に重みを効かせつつ、下方向と浮き袋や本体の表面に働く力によって、横に動く力を制御しているのであろうか。それとも、実は上下運動が大きいものを、経験で何ともなく軽快に動いているものなのか、聞いてみたかったし自分でも筏に渡ってみたかったのだが、その声を発する前に作業が始まった。

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 筏と牡蠣がたっぷりとついたワイヤーは、大掛かりな器具で固定されているのではなく、一本のワイヤーが直接、筏に固定されている。なので、まずは水揚げするワイヤーを決めてから、2人によるチームワークで作業が進む。

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 クレーンをワイヤーに引っ掛けて、ワイヤーを筏から外す。一つの筏には約120〜30本のワイヤーがぶらさがっているのだが、ここでトラブルが発生してしまうとせっかく育った牡蠣が海底に沈んでしまうこととなる。気を抜く暇なんてない。見た目には穏やかながらもそこは海の上。でも、不安定な足元を気にすることもできない。そう、命懸けなのである。

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 クレーンのフックとワイヤーを固定したら、いよいよ引き上げとなる。少しずつ海面に浮かんでくるその姿。

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 そして、大量の海水と共にカキが姿を表した。

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 圧巻、そして迫力という言葉しか浮かばなかった。一本のワイヤーについているカキは約300〜400キロ。これが、船の甲板に向かって勢い良く落下する。

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 こうすることで、ワイヤーからカキが切り離されて、殻の塊だけが残ることになる。ただ、なかなかワイヤーから離れないカキもあるので、その場合にはローラーで強制的に分離することとなる。

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 ただ、おそらくこの分離方法で剥がれたカキは、その殻の形を思うと剥き身になるのだろう。オイスターバーが全国的に広まった今では、カキの需要も変化しており、見栄えがいい殻を持つカキのほうが、市場で重宝されるためである。

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 そして、船を筏から一旦離して少し先に進み、同じ作業を船がカキで一杯になるまで手際よく繰り返す。

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 結局、この日は6本のワイヤーを持ち上げて、約2.5トンという大量のカキで甲板を一杯にして、陸へとご帰還となった。

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 筏に向かうときには、まだ陸地には長い影が残っていたのだが、引き上げる頃には既に水面に反射する、夕陽の輝きだけが残っていた。

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その3へ続きます。

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 今日もカキタベ!を御覧いただきまして、ありがとうございました。通算251食目を迎えたカキタベニストです。植物プランクトンをたっぷりと摂取するこの時期、真牡蠣は更に旨くなります!まずは皆様のクリックで、牡蠣に支援をください!!!

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カテゴリー : [ takapu ]  記事の編集 takapu : 2007年03月02日 23:51

コメント

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投稿者 mghpzcxfoh : 2007年07月18日 02:34

 【ヒロキエさま】
 
 次回は、いわゆる「汚れてもいい服装」が必須ですね。滑らない靴というよりは、まず足腰を鍛えたいと思います。

 で、殻についた生物ですが、あれは食べるにはちょっと…

 そして、リンクありがとうございます。カキタベ!はこれからも牡蠣を記し続けます!。

投稿者 takapu : 2007年03月04日 18:10

 【早坂さま】

 いやぁ………お待たせいたしました。しかも、勢いでホタテ〜旨ウマな時間までの記事も書いてしまいました。

 私だったら、あの牡蠣を1年以内に食べなければならないとは思いますが、1年あの状態で持つわけなく…

投稿者 takapu : 2007年03月04日 18:06

銀座中央通りを歩いていても、足の動きがおぼつかないヒロキエです。
そんでも次回、イカダに乗らせてもらいましょう。
滑らない靴を履いていかなきゃね。

水揚げした牡蠣にくっついていた生命体には驚きました。
あれは食べられるんでしょうか?(ぶっ

「カキタベ!」この記事が胸に響いたので、今日からリンクさせていただきやす。

投稿者 ヒロキエ : 2007年03月04日 09:41

ああ〜〜!!ついに牡蠣上げ編!(祝)

さすがtakapuさんの細かい観察力と文章力!なぜ牡蠣のいかだが揺れないのか・・・・・ワタクシ、疑問すら浮かびませんでしたよ。

ええーーー。takapuさんの場合、何年かければあの一回の引き上げブンの牡蠣、食べつくせるんでしょうね。

投稿者 早坂 : 2007年03月03日 22:57

 【tsukijigoさま】

 この水揚げシーンと、船の上でうごめくあの小さな小さな生命体は、衝撃的でした。一生ものです。

 次回、食べっ会のお店の隣に高層ビルがあるのですが、そこは上るにはちょっと…ただ、なぜ、太らないかがなんとなく解った感があります。私の知人のロッククライマーも、グッドシェイプを保っているので。

投稿者 takapu : 2007年03月03日 15:37

水揚げシーンは、本当にぶったまげましたね!
夕焼けの美しさ、冬でも心地よい海の風、そして
絶叫また絶叫と(笑)、私にも決して忘れられぬ
思い出の日となりました。

> 意外に器用にひょいっと渡る

あ、私はロック・クライミングやってた時期があります(本当)。

投稿者 tsukijigo : 2007年03月03日 15:28