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2007年03月04日
カキの養殖現場を見たことがありますか?〜兵庫県・赤穂市坂越 鎌倉水産にて その3〜
オイスターフリークの皆様、お待たせしました。カキタベ!でございます!
カキをたっぷりと甲板に積んだカキ船が、港に戻る前に立ち寄ったのは別のイカダ。ここで何を水揚げするのかと思ったら、海から姿を表したのは…
幾重にも段になったアンドン篭に入った、たっぷりのホタテだった。ここのカキとホタテは、厳密に幼生(赤ちゃんのようなもの)や採苗から養殖をしているのではなく、カキであれば幼生がついた殻を宮城県から、ホタテであれば2年程度育てられたものを購入し、それぞれ瀬戸内海で身を大きくしているものである。
ホタテの養殖も、カキと同じ垂下式が主流となっており、殻に穴を開けてヒモに結ぶ耳吊り方式か、このアンドン篭と呼ばれる容器に入れて身を大きくする方式に分かれる。ちなみに、ホタテは出荷までに大ぶりのものであれば、カキより長い約4年程度の年月を要する。
もちろん、アンドン篭を見たのも初めてであり、こういった勉強する機会を与えてくださったこちらの方に改めて大感謝。ちなみに、これもカキと一緒に後々で食べることになる。
こうして、カキとホタテの二枚貝で一杯になった船が港に到着。
さて、この大量のカキは、コンベアで船から、鎌倉水産の建物内にある、この大きな部屋のような一時保管庫に入れられて、
紫外線消毒や海水プールといった、出荷までに必要な一連の処理へと展開されることとなる。この後、再び別の船で海に出て、いくつかの仕掛けにかかった魚を獲って、いよいよカキを食べる時間を迎えることになった。
この時間になると、海の上で感じた心地よい風ではなく、中国山地から吹き降ろす冬の冷たい風が、身体に染みる。しかし、ブロック塀で囲まれたこのスペースには、炭火の温かさと早坂さまに作っていただいたおにぎりによる温かさがたっぷり。
そして、3種類のおにぎりが焼ける網の上に、カキをたっぷりと乗せる。
香ばしく焼けた焼きおにぎりをほうばりながら、カキが焼けるのを待つ。カキの殻は膨らんでいる側と平べったくフタになっている殻があるのだが、膨らんでいるほうを左殻、平べったくなっているほうを右殻と呼ぶ。加熱することで身からあふれ出すエキスを受け止めるためには、当然ながら左殻が下となる。
しばらくするとパカっと口が開き、それが焼けた合図となり、箸を動かす号令となる。そんな焼きたてのカキをナイフで開くと…
たまらなく濃厚な磯の香りが、鼻から全身に伝わる。そして、これを一口で食べると、何ともいえない勢いでエキスと旨みが一気に広がる。
旨い!旨い!!とにかく旨い!!!!!
海で熟成されたその味にはエグみがなく、力強いコクがたっぷり。外套膜の部分も厚く、十二分の食べ応え。そして驚いたのが、内臓がたっぷり詰まったグラマラスな外観。
はちきれんという表現は、この姿にこそ似合うものである。
次に、鎌倉水産のご主人に殻を開けてもらい、生カキをいただくことに。
一番驚きだったのが、シャクシャクとしたその食感。細胞の弾力がダイレクトに心地よさとなり、噛む楽しみといった趣を出している。当然、たっぷりの甘みも溢れんばかりにじゅわっと広がる。
あとは、焼きカキと生カキと焼きカキと…という具合に、殻の熱さで指先がヤケドしても、口の中がヤケドしても、止まらないものは止まらない。ただ、一つ一つのボリュームがすごいので、実は数としてはそれほどのものでもない。それでも、満足満腹となるこの瞬間、至福の時である。
次に、おやじさんが取り出して網の上に乗せるは、さっき海から引き上げたばかりのホタテ。
いやぁ…誰か、ホタテ料理専門ブログを始めてくれないだろうかと、思えてしまうこの鮮やかな色。
赤くなっているのは生殖巣、これが赤いのが雌で白いのが牡である。そして、焼きあがると…
色がある分だけ、カキよりも鮮やかな光景が広がる。カキタベニストとしては、少しだけ嫉妬してしまった。大きな殻をお皿に乗せて、貝柱も貝ヒモも生殖巣もがぶりと食べると…
いかん、旨い。
カキのようにコクが前面に出るのではなく、個々の部位の味が一塊になってできる複雑な旨み。貝柱だったら甘さ、生殖巣だったらムハっという食感から広がるコク、そして貝ヒモの塩味と甘さが入り混じった味。うーむ…自分がカキタベニストでなければ、ホタティストになっていること請け合いかもしれない。
で、貝柱の刺身をいただいたのだが…
包丁でスライスするとき、貝柱の筋肉(まぁ、貝柱は筋肉ではあるが…)がクネっと刃に吸い込まれるような動きをしたのが印象的。当然、ジューシーなエキスには甘さがたっぷり。醤油で食べると塩味からの反動で一層甘みが際立つ。やはり、誰かホタティストになってくれないかと思う。
そんな興奮をやわらげてくれるのが、このカキエキスとポン酢によるスープ。柑橘の酸味に負けないカキの旨みが、熱々の液体の中にたっぷりとしみこんでいる。
この後、アナゴ、カサゴ、カニ、アブラメを贅沢に楽しんだのだが、実は自分のデジカメは撮影枚数のほぼリミットを迎えたので、ほぼ未撮影。それはこちらの方の記事と、こちらの方の記事と、こちらの方の記事でご確認を。いやぁ…旨かった。
鎌倉水産のご主人は10年間、他の牡蠣養殖業者の下で一から養殖技術を学び独立したのだが、一度、潮が高くなって建物等が全て壊されてしまったこともあったという。そして、今は幼生からの養殖を行うべく研究を進めているとのこと。好きなカキのために前向きに進むその姿勢、それは自分がどんな言葉で書いても、語りつくせるものではない。
そして、それは全てのカキの養殖業者に対しても同じ気持ちである。風評被害のように自主的に対策をなすことが困難な状況に陥ったとき、それでも、カキの養殖業者は一つ一つのカキを大事に育てることで、答えを出すしかない。
風評を覆すというのは、一人の力でできることではないのだが、自分がこのブログを通じて、カキの旨さや安全性を伝えることで、それを解決するきっかけにはなりえるというのが、カキタベニストとしての使命である。
そして、そんな自分にできることは、カキの美味しさと自分が感じた素晴らしさを書くことしかできない。力不足を感じつつも、この日食べたカキの味を記すなら
旨い。
この一言に尽きる。
この鎌倉水産のカキは、剥き身でも殻つきでも、そして自分も買って帰ったのだが、しぐれ煮でも宅配を実施している。3月を迎えて、今が旬まっしぐらのカキを食べない理由はない。
そして、今回、貴重な経験をさせていただいた、鎌倉水産の皆様、神戸っ子ゴハンの早坂夫妻には、心から御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
鎌倉水産
兵庫県赤穂市坂越329−6
TEL:0791(48)1607
殻つき牡蠣1キロ:800円(1キロ以上は、上の料金表を参考にしてください)
奥様や高校生の息子さんが丁寧に向いた剥き身、しょうがでさっぱり・コクもたっぷりなしぐれ煮もあります。
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今日もカキタベ!を御覧いただきまして、ありがとうございました。通算252食目を迎えたカキタベニストです。植物プランクトンをたっぷりと摂取するこの時期、真牡蠣は更に旨くなります!まずは皆様のクリックで、牡蠣に支援をください!!!
カテゴリー : [ takapu ] 記事の編集 takapu : 2007年03月04日 17:43
コメント
【のむのむさま】
えぇ、もちろん。やっぱり現場ですよ現場。
次は一眼レフを持って伺いたいぐらい、芸術的なものでした。
投稿者 takapu : 2007年05月12日 23:49
そんな玩具あったなぁと思いつつ、
ちゃんと読めるときにと思っていたら、
すっかり遅くなってしまいました。
いつもに増して鮮やかな口調に、カキタベニストぶりを感じます(笑)
牡蠣の筏は通りすがらに見たことがありますが、
間近で見る引き上げる場面は、圧巻ですね。
やっぱり、現場いいなぁ、現場。
投稿者 のむのむ : 2007年03月14日 01:03
【ヒロキエさま】
ジャラって、半透明のビニールでできた赤ん坊の空気人形に、鈴が入っているやつでしたっけ?私は…このときだけは、ホタテに夢中でした…面目ありません。
牡蠣とスパークリングワインの組み合わせ、私も印象的でした(写真がないもので…)。ただ、あの水をひっかけられたシーンは、悲鳴に次ぐ悲鳴しか出ませんでした(笑)。
投稿者 takapu : 2007年03月06日 01:04
アンドン篭を見たとき、ジャラという玩具を思い出さなかったかえ?
私の感想としては、牡蠣&スパークリングワインが最高の美味でした、下戸なのに。
あと最高に面白かったのは、おやじさんから2回も水ひっかけられて悲鳴をあげまくっていた男でした(笑)
投稿者 ヒロキエ : 2007年03月04日 21:16