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2007年02月01日
カキの養殖現場を見たことがありますか?〜兵庫県・赤穂市坂越 鎌倉水産にて その1〜
オイスターフリークの皆様、お待たせしました。カキタベ!でございます!
神戸市内から車で走ること約2時間。有料道を降りて、瀬戸内海沿いの道を走る車の中からは、このような牡蠣に関する看板を見る機会が多くなる。
日本の牡蠣の生産地として真っ先に思い浮かぶであろう地名は、広島、あるいは宮城や岩手の三陸や北海道という方が多いはず。しかし、忘れてはならないのは広島と同じく、瀬戸内海で養殖を行っている兵庫である。
自分が初めて兵庫で育った牡蠣を食べて、印象に残ったのは、銀座の楸で食べた相生産の生牡蠣である。その姿形は一緒のプレートに乗った他の産地の牡蠣と比べて、一回り小さいものであったのだが、味のスケールと印象は一回り大きなものだった。
その時、お店の方が相生とその産地を教えてくれたものの、そもそも兵庫県で、播磨灘で養殖される牡蠣というものに、いまいちピンとこなかった自分が、その数ヶ月後にその場所を訪れるなんて思いもしなかった。
播磨灘がある瀬戸内海沿岸には、広島県を初めとしていくつもの養殖地がある。岡山の備前市や日生市、そして相生市や、これから向かう赤穂(あこう)市の坂越(さこし)。これらをつなぐJR赤穂線はさしずめオイスタートレインといったところか。
そんな話を車中で交わすうちに、石畳が敷かれた少し細めの道に入り、更に車を走らせると右側の視界に少しずつ瀬戸内海が。そして、今回の訪問先である鎌倉水産の看板が見えてきた。
車を降りた自分達を迎えてくれたのは、鎌倉水産のご主人である鎌倉鉄志さん。
※以上2枚の写真は、tsukijigoさまの提供です。
海の男ならではの懐が大きく温かい人柄が伝わってくる。さて、挨拶をしてから、一度手洗いに向かって戻り際に見つけたのがこちら。
カキの養殖に使う金属の紐である。紐とはいえ細めの金属を数本束ねて綱状にしたものなので、簡単に弱くなるものではない。海水を吸収し、地上に長期間置かれているので、表面に残った塩から広がる磯の香りが鼻を刺激する。
再び、建物兼漁港に戻ると、鎌倉さんの奥様と高校生の息子さんが、牡蠣剥きの作業を行っている現場に立ち会うことができた。
素人には絶対に真似できないその速さで、殻にナイフを入れてフタとなる平らな面を開き、身に傷をつけないようにすっと器用にはがし、剥き身用の入れ物に次から次へと入れていく。
もちろん、その速さに驚きなのだが、実はフタの面を開く際に、既に貝柱の場所を把握しているので、身に傷をつけることなく、フタとなっていた殻から貝柱をはがすことができるのだ。
その身は、弾力に満ちており、指で押せばハリに驚かされるという具合。
ちなみに、剥き身にした際に身の形があまりよくない場合には、加工品用ということで、別の容器に入れられるのだが、違うのは見た目だけなので、当然ながらその味に差はないとのこと。
次に目にしたのは、表面にたくさんの泡が付着した、大量の水が入った大きな容器である。
これは、牡蠣の体内に残っている大量の泥を吐かせるために、一晩つけておく海水プールである。海水をポンプでくみ上げて、循環させ続けることで、牡蠣が泥を吐き出してきれいな海水を吸い込む仕組みになっている。プールの表面には、牡蠣が吐き出した泥が浮かんでいたので、指でつまんでみると、
見た目よりも粘りっ気はなく、指でこすっているうちに、カサカサと粉上になってしまった。ちなみに、牡蠣一体が一日で体内に吸い込む水の量は、約400リットル近くになる。養殖筏に吊るされた大量の牡蠣は、海のろ過装置としても、重要な役割を果たしていることになる。
太陽が少し傾いて影の長さが変わる頃、いよいよ牡蠣の養殖筏に向かう時間帯となった。
さて、この赤穂市を初めとした、JR赤穂線沿線の牡蠣産地では、この時期恒例の「かきまつり」が開催されています。2月4日(今度の日曜日です)には、まさにこの坂越にて「坂越かきまつり」が開催され、即売や焼き牡蠣の無料販売、様々な牡蠣料理体験を堪能することができます。
また、同じ日には岡山県備前市(同じ瀬戸内海沿いの産地です)でも、同じような祭りが開催されます。詳しくは、赤穂観光協会のホームページを御覧いただき、ぜひとも足を運んでいただけると幸いです。
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今日もカキタベ!を御覧いただきまして、ありがとうございました。通算247食目を迎えたカキタベニストですが…まずは皆様のクリックで、牡蠣に支援をください!!!
カテゴリー : [ takapu ] 記事の編集 takapu : 2007年02月01日 23:43
コメント
【55aiaiさま】
このお兄ちゃんの技はすごいですよ。だいたい1つ剥くのに10〜15秒ぐらいでした。CM1本分というのがすごいところです…
心臓はじっくりと見たことがないのですが、aiaiさまの記事を見た限り、このジャンルにも少し取り組んでいかないと、カキタベニストじゃないのかなぁと、少しアカデミックな展開もしてみたい今日この頃です。
投稿者 takapu : 2007年03月03日 14:36
【早坂さま】
とんでもなく遅筆ですいません…ようやく、その2まで書き上げました。
やはり、養殖現場のことを詳細に記すには、棚にさらす作業から追っかけていきたいと、改めて思うところです…
投稿者 takapu : 2007年03月03日 14:34
一度生の牡蠣をナイフで剥いたことがあるんですけど、結構楽しく、慣れてくるとサクサクできますよね。でもきっと、このお兄さんなんかは早業なんでしょうねー。
牡蠣の心臓、見たことありますか?
以前見せていただきましたが、ちっちゃくてかわいいのがトクトク動いていましたよ!解剖実習できるくらい鮮度が良さそうですもんねー
投稿者 55aiai : 2007年02月10日 15:27
【のむのむさま】
えー…遅筆ですが、よろしくお願いします。その分、植物プランクトン満載の記事をお送りいたします!
投稿者 takapu : 2007年02月06日 01:00
【tsukijigoさま】
オイスタートレイン、なんか磯の香りがする車両ということで…素敵ですよね。
殻の生成プロセスといった「牡蠣ができるまで」的なものを、今回は記事に色々と織り交ぜてみようと考えています。同時に、それで遅筆になっておりますが…。
少しずつ書いておりますので、温かく見守ってください。
投稿者 takapu : 2007年02月06日 00:57
いよいよ始りましたね。
熱の入れようが伝わってきます。
こちらも負けぬよう拝読する気満々でおりますデス。
続きも楽しみにしています。
投稿者 のむのむ : 2007年02月02日 16:10
おおーーー!すごい。
takapuさんにしか出来ない微細なるその観察レポート!
目の付け所が他の3人とまったく異なります。続きが楽しみーーー。早くおいしく食べるところまで見たい!
投稿者 早坂 : 2007年02月02日 11:17
「オイスタートレイン」!!、いいですね☆
ぜひJR赤穂線のキャッチフレーズに採用してほしいです!
それと「海の濾過装置」もさることながら、塩水に
漬かってるだけの牡蠣が、どうやったらあんなに
固く分厚い殻を大量に生成できるのかと、不思議で
たまりません〜。
ともあれ、写真を見ていると改めて先日の美味体験が
よみがえってきてヨダレが出そうになります(笑)
投稿者 tsukijigo : 2007年02月02日 05:46