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2006年09月27日

銀座・ぺるしぃ シェフのお任せコース

 ひるどきは「ひるやすみ」ということで、夏休み中です。ということで、いつもは“foodreview”という、めったに人目につかないコーナーで書いている、ディナー版・ひるどきの記事を書かせていただきます。

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 「東京のむのむ」の、のむのむさんからお誘いをいただいて、以前から夜の部で行きたかった「ぺるしぃ」へ、のむのむさんのランチメイトである「のむたべる」さん(仮名)と、「あなさんの美しい日々」の、あなさんと4人で向かう。

 元々、美味しいランチを提供してくれるお店なので、夜になるとどのようにパワーアップするのか、以前から気になっていたこともあり、店内に入るまでの時点で、既に期待が胸いっぱいに満ちていた。

 さて、ここのディナーメニューは、「シェフのおすすめ5皿」というおつまみ的なコースと、「シェフのお任せコース」というがっつりムードなコースの2種類、そしてアラカルトで構成されている。そして、コース2種で悩んだ末に、お任せコースを注文した。

 まず、最初の一口ということでCavaで乾杯。自分は下戸ゆえに、グラス一杯がほぼ限度なので、この時点でアルコール類は終了。最初に運ばれてきた自家製のパンとペーストへと視線が移る。

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 ランチの際に提供されるパンとは違って、非常に大ぶりのバゲットである。そして、これに乗せる3種類のペーストは、右から順に焼きナス、白いんげん、そしてサーモン。

 以前からここのパンはクラムがモチモチしており、このパンもパリっとした皮に対して、クラムのモチモチした食感の組み合わせが印象的。ペーストも甘み、塩気、そしてコクと三種三様の味でパンの魅力を膨らませている。

 「シェフと夫婦なんじゃないか疑惑」も、一部で展開されている(実際は違います)、このお店のホール担当兼パン職人の女性に焼き方について伺ったところ、ピザをヒントにした焼き方をしているので、モチモチした仕上がりになるとのこと。

 昼時間だとお店も多忙でこういった話を伺うのが難しいのだが、夜になるとこういった話を伺えるのが嬉しいところである…と、パンを楽しんでいるところで、2皿目が運ばれてきた。

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 鴨としいたけ、そしてフォアグラのソテーである。やわらかくも強い食感を持った鴨、グラマラスな食感を持ったしいたけ、そしてソテーされた部分の食感と中のクリーミィな食感によるコントラストが、とても印象的な一皿となっている。

 味についても肉の強さが前に出た鴨、ソースをたっぷりと吸ったジューシーなしいたけの味、そしてフォアグラの濃厚な味によって、段階的に味の濃度を作り上げている。ちなみに、このシイタケは「シイタケ研究所」なるところから仕入れているとのこと。きのこ係長というのは聞いた事があるが、シイタケ研究所というのは初耳だった。

 とここで、Cavaがなくなったのでペリエを注文しようとしたところ、「ノンアルコールスパークリングワイン」なるものが目に飛び込んできたので、早速注文してみた。

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 いやぁ…贅沢な一杯。下戸が苦手な部分が全て取り除かれており、かつ、濃厚なブドウの味と、やさしいスパークリングの刺激が心地いい。ちなみに、これは個人向けには販売されていないものとのこと。

 そんな思いもよらぬ出会いを楽しんでいると、魚料理が運ばれてきた。

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 島根から直送された小鯛を、赤胡椒を利かせたソースで食べる一皿。前の皿が実際の量以上にボリュームのあるものだったので、こちらはさっぱりと食べさせるという作りになっている。皮はパリっと味はふんわり、そこに赤胡椒の刺激が加わるというもの。また、アスパラガスの食感と味が、この中だけでなく前の皿との流れにおいても、重要な役割を果たしている。

 魚料理を満喫し、ノンアルコールスパークリングワインの2杯目を飲んでいると、いよいよメインの肉料理が運ばれてきた。

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 米沢牛のA5をふんだんに使ったステーキである。切り分けて一口食べると、広がるのは上品な旨みと力強い肉汁。そして、グシュグシュとした食感ではなく、溶けるに近いやさしい食感。この食感で脂一辺倒ではなく、肉本体の旨みが広がることに驚き。

 また、付け合せの野菜であるカボチャやニンジン等も、しっかりと力強い味をかもし出していたのだが、特に印象的だったのが肉の奥に見える、ブイヨンを吸わせてカレー風味に仕上げた、夕顔の実。冬瓜よりもプルプルした弾力に溢れ、さしずめゼリーのような食感。干瓢がこれでできると考えると、なるほど…という満足感に満たされる。

 ここまででかなりのボリュームとなったのだが、男であってもデザートは別腹となる。

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 「ニュージーランドのクローバーについたハチミツ」という、物語性に溢れた素材を使ったアイス、ショコラムースのケーキ、そして紅富士(大きな粒)とバッファロー(小さな粒)のブドウ2種。アイスの甘みが深く濃厚、そして上品に仕上がっており、ケーキのしっかりと計算して作りこんだ甘みと共に、ものすごいレベルでコントラストとなっている。

 また紅富士とバッファローは、それぞれに別の印象を与える甘みを持ったブドウ。これによって、口の中がすっきりしつつ甘い余韻を保つ状態となる。

 自分は、「ランチ=ディナーへのいざない」という位置づけになると思っている。本当に調理人が作りたいものを、色々な意味で手間をかけて提供することによって、作り手の本質や素材の本質が現れるはずで、それを垣間見る機会としてランチタイムという時間があると思う。

 そういった意味で考えると、ランチもディナーも高レベルのお店となると、昼はコストパフォーマンスに優れ、夜はそのパフォーマンスに磨きをかけるものを提供することとなる。そして、ここはそれを実践している数少ないお店だと感じた。

 ぺるしぃの意味はフランス語で「パセリ」。目立たないけれど料理には欠かせないものという位置づけであれば、自分にとってここはパセリ以上に欠かせないお店かもしれない。

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 今日もご覧いただきまして、ありがとうございます。ご支援がてらに人気blogランキング(レストラン・飲食店部門)も、ぜひご覧ください。

カテゴリー : [ フランス料理|銀座 ]  記事の編集 takapu : 2006年09月27日 12:51

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毎日楽しい予定が続いてルンルンなワタクシ。 水曜日のお昼は楽しいランチ 、 そして引き続き夜も素敵にオフっちゃいました。 えー、夜のメンバーは・・・  上戸の中の上戸!素敵かわいい のむのむさん  ワインセレクトにセンスがキラリ 男前な... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年09月27日 16:41

» ■ビストロ ぺるしぃ フレンチ 東京・銀座 【2006年10月訪問】 from ぐるめと旅 プレイバック
大阪ではフレンチでも、ランチに1000円だすと質・量・雰囲気ともにまあまあ満足できるお店があるけど東京ではなかなかないんだよねまあ、土地代が高いから、しょうがないのかな…とはいえ、探してみるとよさげな〓1 [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年11月03日 13:46

コメント

 【koireさま】

 本当にステキなお店というのは、このお店のように作り手の体温が伝わってくるお店だと思います。

 ぜひ、ランチタイムを堪能してください。私もハヤシライスを食べたことがないので、
ランチにも久しぶりに行ってみようかと思っています。

投稿者 takapu : 2006年09月29日 00:01

本当に美味しいお店なのですね。
いつか絶対食べてみたい!
この間、お店の場所を探検しに行きました。
会社からもなんとか行かれる距離でした。
ランチしかいかれないと思いますが、ぜひ行ってみたいです。美味しい「ノンアルコールスパークリングワイン」にも出会えて良かったですね。

投稿者 koire : 2006年09月27日 22:34

 【通りすがりファンさま】

 「続きはこちら」機能は、書きたいことがたくさんあり、文章量が多くなってしまうと判断した際に、
使用しております。

 私は自分で使ってないもので、よく判ってないのですが、
RSSリーダーでしょうか?

投稿者 takapu : 2006年09月27日 22:30

 【のむのむさま】

 さすが、私のことをよくご存知で(笑)。

 やはり、ここはえらく旨いものを、えらくフレンドリーに
食べさせてくれる貴重なお店ですね。あんなにお店の方と話したのも初めてでした。

 次回は…って、月イチ確定ですか?

投稿者 takapu : 2006年09月27日 22:28

 【あなさま】

 フェイントというより、このタイミングに出したいと思っていました。
やはり、昼と夜の役割については、いつもいつも考えており、
その答えが出た夜だったので、しっかりと書かせてもらいました。

 次回は、水分なしでパン大食いというのはいかがでしょうか?

投稿者 takapu : 2006年09月27日 22:24

「続きはこちら」はいつから登場したんですか?正直「続きはこちら」機能付きは見る気がしないんですよね。過去のを遡ってまとめて見るときなんて特に。いちいちブラウザ戻らないといけないし。

投稿者 通りすがりファン : 2006年09月27日 17:47

いやぁ、お待ちしておりました。ぺるしぃの記事。
「ひるやすみ」中とのことでしたので、今週かな?と
楽しみにしてました。
それにしても、食べた当日と、これを読んだ今日と、2度おいしいとはこのことです。

次はいつ行きましょうかねぇ。
今日医者から今の生活で大丈夫と言われましたから、
いつでもよくってよ(笑)

投稿者 のむのむ : 2006年09月27日 17:16

おぉ、もうぺるしぃレポはナシかと思いきやこのフェイントっぷり!
しかも酔っ払いとは思えぬ丁寧な洞察力。
あの夜が蘇るほどの臨場感溢れるレポ。さすがです。

あの感動を求めてまたぺるしぃ対決しましょう(笑。

投稿者 あな : 2006年09月27日 16:52

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