まず、最初に運ばれてきたのは、おひたしと玉子の巾着包み。

　シャキシャキした食感のおひたしは、カニの味とうっすらとしたダシが効いた上品な味。一方の、巾着包みも薄味の上品な作りで、玉子と揚げの一体感もさることながら、個人的にはかんぴょうの歯ざわりが印象的。

　次に、糠漬けとふりかけ、そして五穀米とあばれまんじゅうが運ばれてきた。

　糠漬けは、カブの葉とキュウリ、そしてカボチャ。しっかりした糠の味に加えて、個々の野菜の瑞々しさによるシャキっとした音が気持ちいい。ふりかけは、鮭やしらすを使ったもので、五穀米にかけて食べると、五穀米の強い味としっかりと一体になって、主菜を食べる前にしてご飯が妙に進んでしまう。

　そして、あばれまんじゅう。これは、芋をつぶしてモチモチの生地状にしたもので、薄切りの牛肉を包んだまんじゅうをお椀に入れて、そこに鰹の出汁を張ったところに、たっぷりの海苔とネギを添えたもの。まんじゅうを箸で割ると、こんな具合になっている。

　じんわりと温かくやさしい鰹の出汁に、海苔の香りと味が加わり、出汁を飲むだけでほっとする味になっている。そして、この味が染みた芋の食感がフワフワと心地よく、そこに牛肉の濃厚な旨みが加わる。

　ご飯のおかずなのだが、ご飯と一緒にというよりは、単品でこの碗の世界を楽しみたい作りとなっているので、そう考えると、糠漬けとふりかけの位置づけに納得。

　そして、食後にはデザートも。

　はちきれんばかりに弾力のあるまんじゅうの中には、トロトロとやわらかい黒ゴマの餡。上品な流れで進んでいた食事の締めくくりとして、強さと繊細さを持ったこの一品が、甘く心地よい余韻を残してくれる。

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