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2008年02月16日

雪が谷大塚・食堂廣田 牡蠣尽くしの夜「カキタベナイト!」

オイスターフリークの皆様、カキタベ!でございます!!!

 さて、現在のカキタベ!順位はいかほどに?


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 「直径10センチのカキフライボールが食べたいっっっ!」

 そんな、こちらの記事に集った熱い声をきっかけに、オイスターフリークが集まって開催されたのが、「カキタベナイト!」

 ということで、初めての方が訪問するには少しタフな環境にある、雪が谷大塚の廣田にて開催。総勢10人が集い、サッポロラガーとウーロン茶を片手に乾杯をして、最初に運ばれてきたのは3種類の生牡蠣。

 廣田で生牡蠣となると、基本は大田市場の「山宗」に入荷される外国産。この日も左からシアトル産のクマモト、ペンコープセレクト、そして、カナダ産のファニーベイと、北米大陸産の牡蠣が揃った。

 実は、この3種類には大きな違いがある。クマモトは日本から稚貝を持ち込んで養殖をした、日本でも普通に食されている一般的なマガキ…ではなく、かつて有明海に生息していた「シカメガキ」というもので、マガキと同じ「クラスオストレア属」というものだが、最近のDNA鑑定で別物と判明したものである(魯さま、ご指摘ありがとうございました)。

 一方、ペンコープセレクトはオリンピアオイスターという、アメリカ西海岸特有の種で、一般的なマガキや先のシカメガキとは違って、オストレア属に分類される。そして、ファニーベイも同じオストレア属。

 この系統のカキとしては、日本にもイタボガキというものがある。元々、瀬戸内海を中心に東京湾でも獲れていたほどに、絶対量が豊富だったが、現在は年間にほんのわずかしか発見されず、市場に出回らない貴重な海洋資源となってしまった。

 現在、岡山や香川の水産試験場が人口採苗に成功し、少しずつではあるがイタボガキの復活計画は進んでいるものの、そもそもが天然繁殖されていたものだけに、本格的な復活には、良質な海洋環境の整備が欠かせない。

 見た目の特長としては、円形に近いフォルム。そして、粒そのものの大きさと形にある。国内のマガキに比べると小さいものの、他の2つに比べて一回り大きなクマモトは、すっきりとした味に甘さが潜んでいる。唯一、酢橘が添えてあった理由はマガキの磯味をすっきりさせるため。

 一方、ペンコープとファニーベイは、表面のクキクキした厚みのある膜から、小粒からは想像つかないほどのコクがあり、後を引くような旨みを持つ。そして、甘いという印象を強く与えてくれるその味が、自分は大好きだ。

 生牡蠣のコンセプトが、「牡蠣で世界を知る」というものであるならば、次からの牡蠣料理に込められたコンセプトは「しっかりと火を入れることで生まれる牡蠣の旨さを知る」というもの。

・牡蠣のグラタン
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 その幕開けとなる一品は、牡蠣のグラタン。アメリカ西海岸には、ハングタウンフライという、牡蠣とベーコン、そしてタマネギが入った名物グラタンがあるが、この牡蠣グラタンには、宮城産の牡蠣とイベリコ豚のハム、そしてほうれん草が入っている。

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 昔式のベシャメルソースは、水っぽさの欠片もなく弾力と呼ぶに近い食感。舌でとろけるうちに牡蠣の旨みが浸透した濃厚な旨みが広がり、更にイベリコが持つ異質の濃さによって、圧倒的な印象を残す。

 このベシャメルと組み合わさる大ぶりの牡蠣を噛むと、凝縮されたエキスが広がり、プクプクとグラマラスな身体に宿る力強いコクが主張する。

・カキフライ
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 幸いなことに、自分にとっては御馴染みとなった一品も、やはり初めて見る方にとっては相当のインパクト。厚めの衣に封じ込められているのは、ズシンと力強く磯の香りと旨みがぎゅっと詰まった牡蠣の融合体。

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 テーブルサイドに置かれた岩塩のランプによって、妖しく照らされたカキフライの中身、それは貝殻によって養殖されている牡蠣をイメージさせる。

・牡蠣と大根の炊き合わせ
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 今回、参加された方々に一番印象的だったのが、この一品。300度に熱したオーブンで、熱をとことん入れることで、旨みを凝縮した広島産の牡蠣。エキスを保ちつつ水分を抜くためなのだが、20個の牡蠣からカレースプーン2杯分の水分しか外に出ないのとのこと。

 それだけ、余分なものがなくグリコーゲンがたっぷりと詰まった牡蠣が、「どうやればこんなに旨みを吸わせることができるのか?」というぐらい、しっかりとダシをしみこませた大根と組み合わさって、トロっとした銀あんと柚子胡椒の刺激が、全体を引き締める。

 一言でいうと、調和の極み。ホクホクとした大根と、はち切れんばかりの牡蠣が上品な銀あんと調和すると、なんともまぁ、見た目からは想像もつかない懐の深い味を生みだす。

・黒トリュフと牛肉エキスのスパゲティ、牡蠣のクリーム和えのせ
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 〆の一品は、重量感あるスパゲティ。パスタを引き上げると、トリュフの濃厚な香り。これを、熱を通した牡蠣を半分に刻んだものを、8分立ての生クリームに和えたものと一緒に口にする。

 レシピとしては古典的なものだというが、トリッキーな組み合わせのパスタが多い昨今、実は至極真っ当な組み合わせの一品にこそ、新鮮な印象を受ける。

 冷たいクリームと、熱々のパスタ。口に入れると温度が融和して軽さと重厚感が一体になり、目的の味へとたどり着く。牡蠣の濃さというのが、どの食材の濃さとも異質のものであることを、改めて教えてくれる。

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 食後のコーヒーは、ニューギニアやザンビアの豆をブレンドした、「パッション」というもの。このお店には八巻氏という、老舗コーヒー店で修行した方が働いており、さしずめ渾身の一杯と呼べるもの。2月一杯でお店から離れて次の道へと進まれるということで、もしかすると最後の一杯になってしまうのかもしれない。

 思えば、このコースもパッションという一言に尽きる。でも、それはシェフの確信犯的に仕組まれたもの。そんな刺激を一緒に感じていただいた皆様に感謝。

・今回、参加いただいた皆様。
馳走に屋号に意匠あり:まさぴ。さま

バンド・オブ・トーキョー☆:ロレンスさま

色々だらだら:魯さま

東京のむのむ:のむのむさま と、相方のてくてくさま

春は築地で朝ごはん:つきじろうさま

Tokyo Diary:romyさま

華麗叫子の胃袋は偉大なるコスモ:華麗叫子さま

ちはやまことさま


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カテゴリー : [ takapu|その他|カキフライ|生牡蠣|パスタ|洋食|その他 ]  記事の編集 takapu : 2008年02月16日 23:47